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YVR 島から見たり聴いたり

トロント生活40余年の後に西海岸
ブリティッシュ・コロンビア州の州都
ビクトリア市に国内移住。
新たな街からの生のニュースを
バンクーバー発行の日本語誌
「バンクーバー新報」に2017年より新連載。
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街中での野生動物との共存

街で見る野生動物

 

カナダのように周りに自然が一杯の国では、人口が集中している町中でも本来なら山中に住むべき野生動物が出現するのは珍しいことではない。ビクトリア市の場合、その代表格は何と言っても鹿である。

 

墓地も格好のエサ場である。

 

今やその数が余りにも多く、交通量の多い道路でさえも悠然と闊歩している姿を見かける。こうなると果たして「野生動物」と呼べるかどうか分からないが、時には「クーガ」などが姿を現したりもする。つい最近も3月半ばにビクトリアの北に位置するSannichと言う町で目撃者の通報が3回あった。

 

しかし元々は彼等の住処だった所に人間が入り込んで来たのだから、食べ物を求めてさ迷う姿が住宅街で見られたとしても仕方がないのかもしれない。と、百歩譲ってはみるものの、ちょっと想像してみて欲しい。

 

真っ昼間にいつも歩いている歩道で、眼光鋭いクーガに突如出っくわした時の事を!一体そんな時には、一目散で逃げるべきなのか、急ぎ物陰に隠れるべきなのか分からないが、恐怖で固まるであろうことだけは想像できる。

 

警察のアドバスは「大きな物音を立てる」ようにというが、そんなことが咄嗟に出来るかどうか・・・。

 

鹿問題

 

もちろんクーガの出現などは毎日起こるわけではない。だが「鹿問題」は今や極限に達し、何処の市町村でも住民からの苦情が絶えず「のっぴきならない問題」になっている。

 

「やっと成長した野菜の芽を、夜中に根こそぎ食べられてしまった」「鹿よけの網は役に立たずバラの蕾が全部食い荒らされた」「裏庭は糞が一杯で、外に出られない」などなど。

 

そこで鹿人口の一番多いとされるビクトリア市南端に位置するOak Bayと呼ばれる高級住宅街で、いよいよ「手段を講じる」ことになった。住民やセンサーを使って集めた情報によれば、この小さなコミュニティ(人口約一万八千人)には72128頭が生存しているという。

 

さてその手段とは、雌鹿に「産児制限」を施して産まれる小鹿の数を制限しようというのである。これはアルバータ州などでは、野生馬の産児制限をする時に使用される方法であるとのことだが、女鹿に対してはカナダで初めて施行されるため大きなニュースになっている。

 

ではその「仕掛け」がどの様に行われるかと言えば、発情期を迎える3月下旬ごろから夏にかけて産児制限用の薬を注入したダーツ(矢)を女鹿めがけて放ち、体内に薬が廻ってよろけるのを待ち、センサーを設置した輪を首に掛けるのである。その後は地域に仕掛けた何台かのカメラが彼らの行動を監視する。

 

産児制限の薬を打たれたことを示す輪を付けてメス鹿

 

 

 

去年すでに20頭ほどに仕掛けを施し、血液、糞、DNAの検査を行った。今後はこの女鹿の状態を見ながら将来に向けて更なる仕掛けを施す数を増やす計画である。すでに80頭分ほどの薬が用意されているとのことだ。

 

当然ながらこうしたドラッグ、各種の器械、関係する人々への経費などを手に入れるには、それなりの予算が必要である。対象地域の地方自治体、州政府、野生生物管理協会などからの予算が取れなければ計画を継続出来ないため、関係者は非常に慎重である。

 

ところでこの産児制限の薬とは、体内には残らない「Zonastat-Dと呼ばれるもので、最近アメリカで承認されたドラッグと言う。もし将来この薬を施された鹿肉を人間が食しても、人体への影響はないそうだ。

 

輪を付けた母親と小鹿(まだ毛が生え揃っていない)

 

今までも間引き、罠仕掛け、その他幾つもの方法を実行したものの、どれも効果がなかった。

カナダには165万頭もの鹿が生存しているとかで「鹿問題」に悩むコミュニティーは多いため、関係者は新手段に大きな期待を寄せている。

 

 

 

 

 

 

 

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