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YVR 島から見たり聴いたり

トロント生活40余年の後に西海岸
ブリティッシュ・コロンビア州の州都
ビクトリア市に国内移住。
新たな街からの生のニュースを
バンクーバー発行の日本語誌
「バンクーバー新報」に2017年より新連載。
<< 人としての礼節 | main | 日本における外国人の技能実習生の実態 >>
広い視野を持つ新入管法に

以下は11月5日(月)に脱稿した記事である:

 

 

受け入れは14業種

カナダを定住国としている日本人が、近年帰国の度に驚くことの一つが、そこここに働く外国人の増加である。他民族国家であるカナダでは、ヨーロッパ系以外の人々がそこにもここにも住み、働き、生活していることなど何も珍しくない。

 

だが社会環境の違う日本でこの変化を見ると「単一民族国家」などと言われた時代を知っている者には、実に目を見張るものがあり、「ふう〜ん、日本もこうなって来たか!」と新たな傾向をとても嬉しく思うのだ。

 

一般的には東南アジアからの人が多い様に見受けるが、すでに流暢に日本語を話す人もいれば、まだおぼつかない人もいる。

すでにその変化の理由につては広く知られているが、何と言っても少子高齢化の日本に、十分な働き手がいないため外国人に頼るほかないのである。

 

そうした社会の変化は語られて久しいが、にっちもさっちも行かない現状に対し、国もやっと重い腰を上げ、1024日に召集された第4次安倍改造内閣で、今までの入管法の改正案を閣議決定することに決め、今国会での成立を目指していると言う。

 

もちろんまだ出来立ての政策である為あいまいな部分が多いとは言え、これは使い勝手のいい「工作機械」を外国から導入するわけではない。他国から助っ人として「人間」に来て貰うと言うのに、改正案の詳細を見ると幾つもの難しい規定が設けられている。彼らを如何に管理するかに躍起になっているように見えるのだ。

 

受け入れ先は、日本人の女性や高齢者の働き手をもってしても埋めることが出来ない分野で、建設、造船、農業、漁業、介護、外食、ビルクリーニングなど14業種に限られている。

 

「移民政策ではない」と与党は断言し、在留資格の「特定技能」を持つ者を「1号」「2号」の段階に分けている。規制が多少緩い「1号」を見ると、5年の実習技能を終了するか、技能と日本語能力の試験に合格すれば資格を与えられるとしているが、家族の帯同は認めていない。危惧するのはもし既婚者であったら、5年も家族と離れて暮らすのは如何なものかとまず思う。

 

また例えば人手不足が言われて久しい介護の現場で、日本の老人たちとの温かい心の交流が出来たとしても、難しい日本語の試験に合格しなければ在留資格は認められない。

 

それはあたかも「はい、5年間ご苦労さん、もう結構、故国にお帰り下さい」「日本に来たい人は幾らでもいるんだから」と言わんばかりである。

 

長い目で見る必要

 

さてここで、移民先進国カナダの状況をちょっと書いて見よう。

 

日本からカナダに来た戦後移住者は、1973年がピークで約1105人であった。一応何らかの資格があるか、あるいは得意とする技術を持っていることが条件だった。だが時代が時代だけに「タイピスト」等と言うのもその職種に入っていて、規定はとても緩いものだった。

 

Torontoに移住した日本人たちが去年50周年(1967−2017)を祝った

 

また英語も皆無か、しどろもどろの人もかなりいて、夫婦で東京のカナダ大使館での面接に臨んだ際に、移住の理由を「もっとbetter lifeを求めて」と言うところを「I want to have a better wife」と夫が言ってしまったなどの、今思えば笑えるようなエピソードも残っている。

 

記念誌にはジャスティン・トルドー首相からの祝辞も寄せられた

 

しかしそうした人々も、到着後は必要に応じてフリーの英語学校に通い、職業訓練も受けられた。そしてカナダ生活に慣れるに従い、社会の何処かに居場所を見つけ、独身者は結婚し、妻帯者も夫婦で頑張り生活の根をしっかりと張って行ったのである。

 

今はその子供たちが更に結婚したり、ビジネスに邁進したりして「カナダ人」としてこの国の経済発展の一翼を担っている。日本人夫婦の子供で外見は東洋人でも、今もし彼らに「あなたは何人?」と聞いたら恐らく全員が「カナダ人」と答えるだろう。勿論その後に「でも親は日本人」と説明を付けるかもしれない。だがそれは、二つの文化を持つことに誇りを持って言うのであって、彼らは押しも押されぬカナダ人なのだ。


日本とカナダは今年と来年日加修好90周年を祝うまでになっている。

 

言うまでもなく、カナダと日本を単純に比較することなど全く出来ないが、一国から人を受け入れるなら、短絡的に物事を処理せずくれぐれも血の通った政策を遂行して欲しいと思う。

 

3年後には制度を見直すと言うが、それ迄には曖昧さのないしっかりとした「多文化主義の芽」が日本社会に育っていることを期待したい。

 

 

 

 

〜*〜*〜

以下は11月19日(月)に追記した:

 

その後国会では継続した審議が行われたが、それから2週間以上経った今も、初年度最大4800人、5年間で34万人とする試算を明らかにしただけで以下の詳細などはない:

➀日本語教育や生活支援の問題 

➁医療や年金などの社会保障制度の問題

 

繰り返すが、この政策は「使い勝手の良い器械」を外国から導入するのではない。34万もの人が来て日本人と共に働くのである。しっかりとした規制と秩序の元に運用して行かなければ、将来このずさんなやり方が大きな問題になることは目に見えている。

 

何よりも外国からの人々が、「日本に来てよかった」と思って貰える政策であって欲しいと心から願う。

 

 

 

 

 

 

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